【米国高配当ETF】人気のSPYD・HDV・VYMの内、統計学的に最もリスクが高いのはこれだった

こんにちは。きむ公です。
今日は米国高配当ETFについての記事です。

米国高配当ETFといえば、その高い分配金利回りと安定したパフォーマンスが魅力で最近のトレンドの投資対象ですね。
初心者から上級者まで幅広い層にファンがいます。

中でも特に人気なのはSPYD・HDV・VYMの3種類ではないでしょうか。
この3つはすべて、今まで高いトータルリターンをあげている上、経費率も0.1%を下回っています。

そのため、初心者にもオススメできるETFとして様々なブロガーにも紹介されています。

僕自身これらは全て優良なETFだと考えています。
が、仮にどれか一つを選ぶとなったらどれを選べば良いのでしょうか。

今回はそのヒントとするべく、統計学的にこの三つのファンドのリスクを測ってみました。
さて、最もリスクが高かったのは……?

ファイナンスでいうリスク(ボラティリティ)とは

まず、今回の記事で言うリスクとは何かについて簡単に説明しておきます。

ややこしいことは抜きにして結果だけ知りたいよ、という人は読み飛ばしていただいても問題ありません。

今回の記事でいうリスクとはファイナンスもしくは統計学の世界でボラティリティと呼ばれるものです。

これは超簡単に言うと株価がどれだけ変動するかというものです。
もう少し正確に言うと、リターン(今回は日次リターン)の標準偏差ということになります。

例えば、ある日株Aを購入したとしましょう。

そして翌日は10%のリターン、
その翌日は20%のリターン、
さらにその翌日はマイナス30%の損失となったとします。


一方で同じ日に購入した株Bは

翌日は2%のリターン、
その翌日も2%のリターン、
さらにその翌日も2%のリターンだったとします。

この二つの銘柄をボラティリティを使って比較した場合、儲けが安定しないので株Aの方がリスクが高いという風に判断します。

ここでいうリスクは「損する確率」のことではないので注意してください。

SPYD,HDV,VYMのリスク比較結果

結論から言うと、それぞれのファンド設定日からの過去データでは VYM>SPYD>HDVの順番にリスクが高いという結果になりました。

下にこの3種類のETFの日次の平均リターン(算術平均)とボラティリティをまとめておきます。
リスク(ボラティリティ)[*10^-3]日次リターン平均[*10^-4]データ期間
VYM11.33.732006/11/16:2020/2/10
SPYD7.744.422015/10/22:2020/2/7
HDV7.234.442011/3/31:2020/2/10
SPYDとHDVはリスクもリターンも近い結果になっています。
そもそもこれらのETFには同じ銘柄も多数組み込まれているので、ある程度似たり寄ったりの結果になることは当然だといえます。

この結果だけを見るとVYMはハイリスク・ローリターンのあまり買う価値がないETFに見えますね。
しかし単純にそうは言い切れません。

VYMが見かけ上ハイリスク・ローリターンになってしまったわけ

しかしなぜVYMはSPYD,HDVに比べるとハイリスク・ローリターンになってしまったのでしょうか。

ひとつの理由は、使用するデータの期間です。
VYMはその長い歴史の中で、リーマンショックも経験しています。

VYMはリーマンショック前後に価格が乱高下したために統計処理上ハイリスクな銘柄だと判定されてしまったようです。
実際、SPYDと期間を合わせて検証をし直すと、リスクは
SPYD>VYM>HDV
となります。
リスク(ボラティリティ)[*10^-3]日次リターン平均[*10^-4]
VYM7.334.54
SPYD7.744.42
HDV6.903.85
HDVがややローリスク・ローリターンですが、 期間を揃えることで、3つのETFのパフォーマンスはかなり似通ってきましたね。

逆に言えば、 今後SPYDやHDVも市場にリーマンショック級の事件が起きれば大きく価格変動する可能性は十分にあるということです。

ついでに個別株とも比較してみた

ついでに、個別銘柄と比較するとこれらのETFのリスクがどれくらい低いのかも調べてみましょう。
ちなみにアメリカで時価総額1位のアップル株のリスクを同じ手法を用いて計算してみたところ以下のようになりました。
リスク(ボラティリティ)[*10^-3]日次リターン平均[*10^-4]
AAPL28.610.9
こうしてみると、SPYD,VYM,HDVのいずれも、Appleという単体の株と比較するとかなりローリスクだとわかります。

そもそも個別株を買うよりもリスクを抑えたいというのがETFを購入する大きな動機です。
ETFを通じてたくさんの銘柄に投資すると、銘柄同士で損益が相殺して全体としての値動きがなだらかになるのですね。

もしSPYD,HDV,VYMの3つのETFから一つを選ぶなら

今回の結果では、3つのETFのパフォーマンスはそこまで大きく違わないものでした。 が、それでも順位付けすると同期間の比較では
リスクリターン平均
SPYD>VYM>HDVVYM>SPYD>HDV
となりました。

ちなみにもし仮に僕がこの中の一つにしか投資できないとしたらSPYDを選びます。
上の順位だけを見ればSPYDはVYMの劣化に見えますが、配当利回りがもっとも高いのはSPYDです(2020/2/11日現在)。
配当利回り
SPYD5.07%
VYM3.32%
HDV3.25%
しかも、SPYDにはREITも多く組み入れられているので、 個別株をやっている僕にとってはアセットアロケーションのバランスを良くしてくれるという恩恵もあります。

分配金を考慮していない点は注意

今回の検証では例によってデータが取得できなかったという理由により、分配金を考慮出来ていません。

なかなかネットには配当のデータは落ちていませんが、 もし手に入ることがあれば分配金再投資を考慮したシミュレーションを行っていきたいところです。
ちなみに僕は、投資データ解析にPythonというプログラミング言語(文法は単純なので、すぐ使えるようになります)のPandasというモジュールをつかっています。

これは金融データ解析のために作り出されたものです。
これを使えば、エクセルでは不可能なレベルのデータ解析が簡単にできる非常に便利なものです。

興味がある人は、『Pythonによるデータ分析入門』を読んでみてください。

この内容を理解すれば、今回紹介したレベルのデータ解析なら簡単にできるようになりますよ。
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