【大塚家具のこれから】ヤマダ電機の子会社化によって大塚家具は再建できるのか?

昨日(2019年12月12日)、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
なんと第三者割当増資によって、ヤマダ電機(9831)が大塚家具(8186)の経営権を握るというのです。
大塚家具といえば、2014年ごろに久美子現社長と勝久前社長の経営方針を巡る対立が話題になりました。
高級路線を堅持したい父・勝久氏と低価格路線に舵を切りたい娘・久美子氏。
両者の応酬が連日のように報道されていましたね。

最終的に久美子氏が父から経営権を奪取したものの、お家騒動を発端とするブランドイメージの毀損から売上は低迷。
それに伴い資金繰りも非常に悪化していました。
こうした状況の中、大塚家具の先行きを懸念していた投資家にとってヤマダ電機の同社買収は大きなサプライズでした。
このニュースを受けて、162円だった大塚家具の株価は212円まで上昇。
12日の大塚家具はストップ高となりました。
さらに本日13日も、2日連続ストップ高となる気配です。

さて、そんな渦中の大塚家具ですが、今回の資金獲得で本当に立ち直ることが出来るのでしょうか?
今回の記事では、ヤマダ電機からの資金獲得で大塚家具はどう変わるかを詳しく掘り下げていきます。

【第三者割当増資とは】大塚家具は新しく株を発行してヤマダ電機に買い取ってもらった

今回のヤマダ電機からの資金調達方法は、第三者割当増資という形態が取られています。
これは簡単にいうと、企業が新しく株を発行して、それを誰かに買ってもらうことで事業資金を得るという方法です。

今回の場合は、大塚家具は新たに3000万株を発行し、それをヤマダ電機が1株145.8円で購入することになりました。
つまり大塚家具は

145.8円 × 3000万株 = 43億7400万円

の運転資金を調達したことになります。
既存の発行株数は2840万株だったので、かなり大型の増資だったことがわかりますね。

ちなみに、株式と事業資金の関係などを詳しく知りたいという方はこちらの記事がオススメです。

【保存版】そもそも株とは何か?なぜ儲かるのか?~子供にもわかるように解説する

2019年12月2日

ちなみに、第三者割当増資は良いことばかりではありません。
新株を大量に発行してしまう以上、既存の株の価値が薄まってしまうのです。
これを株式価値の希釈化などといったりもしますが、とにかく既存の株主としてはあまり望ましくない資金調達方法なのです。

ただし今回の大塚家具の場合、市場には今回の買収劇は好意的に受け止められたようです。
大塚家具は、あまりに資金繰りが悪化しすぎており、上場廃止や倒産すら懸念されていました。ひとまず、それらの危機が後退したということでしょう。

資金獲得の背景

しかし、なぜ今回大塚家具は第三者割当での資金調達をせざるをえなかったのでしょうか。
その背景には、前回の資金調達先である中国系企業のハイラインズとのゴタゴタがあったようです。

大塚家具の開示資料にはこうあります。

2019 年6月調達は、2019 年2月 15 日の取締役会決議時点では(中略)新株式発行については、一部中止のお知らせのとおり、一部払込がなされず、第三者割当による新株式の発行総額が 3,803 百万円から 2,628 百万円と 1,174 百万円減少し、その結果、倉庫自動化費用を調達することが出来ませんでした。

https://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-31/h31-12-12_4.pdf

大塚家具は前回の新株発行で本当はハイラインズから38億円調達する予定でした。しかし、実際は26億円しか資金が払い込まれなかったのです。
これにより、倉庫運営を効率化して人件費などの固定費削減を達成することが困難になったということが今回の資金調達の背景にあります。

経営を経験されている方なら資金繰りのプレッシャーは分かると思います。
僕もマイクロ法人を持っているので大塚家具の状況はなんとなく想像ができます。

資金繰りが逼迫しすぎると、資金調達先との細かい調整をしている余裕もなくなるんですよね。この辺りは想像が入り込んでしまいますが、資金繰りに関する久美子社長のストレスは尋常では無かったと思います。

さて、そういう事情でハイラインズから十分に資金を獲得できなかった大塚家具ですが、今回の買収ヤマダ電機による買収でひとまず43億円獲得することができました。

補足
ちなみに2018年7月頃からヤマダ電機と大塚家具は事業提携を始めていたことを付言しておきます。
「家電住まいる館」プロジェクトを展開するヤマダ電機と、家具販売ノウハウを有する大塚家具の相乗効果を見込んでのことでした。両者の出会いは銀行の紹介によるものだそうです。

さて、重要なのは、今回ヤマダ電機から調達した資金の使い道です。

この資金でなんとか経営債券にこぎつけられるかが、大塚家具の(そしてヤマダ電機の)未来に大きく影響してきます。

調達した資金の使いみち

大塚家具によると、今回調達した資金は以下の内訳で使用することを予定しているそうです。

運転資金(商品開発・在庫投資・BtoBの強化) 4億100万円
設備投資(物流・店舗改装・中国事業) 12億3200万円
WEB・IT関連投資 4億7300万円
広告宣伝費 13億円
売掛債権買い戻し 8億円

最も目を引くのは広告宣伝費13億円ですね。
大塚家具はブランドイメージの回復の為に多額の費用を広告宣伝費に投入する必要があると説明しています。
大塚家具自身もブランドイメージの毀損が売上低下の重要な原因であるという認識はもっているのです。もっとも、広告費投入でブランドイメージが本当に回復するのかどうかは、現段階では誰にもわかりませんが。

僕個人の意見は、

この広告費投入は成功するかは不透明だが、やらなければ確実にまた経営はジリ貧になる

と考えています。
いい加減、大塚家具は「お家騒動の会社」から一歩先に進むべきです。
そのため、この予算配分は合理的ではあると考えます。
もっとも、経営や投資では、合理的であることは成功することの必要条件であって十分条件ではないことには注意が必要です。

ちなみに大塚家具の資料によると、
前回の資金調達先であるハイラインズとの関係強化にもヤマダ電機から調達した資金の一部が使用されるということです。具体的には中国での販売強化ですね。
資金額は9000万円と決して大きくは無いですが、ヤマダ電機の寛容さが伝わってきます。
大塚家具はやっと優良な資金調達先にめぐり合えたということでしょうか。
今後の動向に注目です。

きむ公の感想

しかし、大塚家具の苦境は長引きますね。
久美子社長が低価格路線への変更を主張しはじめたのは2009年頃のことでした。
当時の業績低迷を受けてのことでしたが、よく考えてみればこの時はリーマンショック直後。
世界的な不景気の真っ只中であり、大塚家具のような高級家具が売れないのは仕方のないことでした。
もし、久美子社長が何もしていなければ、景気回復にともなって自然と大塚家具の業績は回復していた可能性も高いでしょう。

勿論これは結果論ですが、

不景気だから大衆路線に変更する

という一見合理的な思考がドツボにはまることもあるという好例です。

投資や経営では、苦境に陥った時には意外と何もしないほうがいい
ということが結構ある
のです。
そういう時は何か下手な動きをすると、余計に傷口を広げるということですね。

久美子氏と勝久氏の泥沼の争いは2014年ごろから盛んに報じられるようになりました。今考えてみれば、ブランドイメージの毀損は連日のお家騒動の報道により起こったと言えます。誰も、社長が親子喧嘩している会社の家具を買いたくはないでしょう。

つまり久美子氏が何もしなければ、「お家騒動が発生することもなく景気回復の中で大塚家具が自然と復活する」という最高のシナリオが実現していた可能性は高いでしょう。

久美子氏は、もともとは会社の経営を再建したいという思いから立ち上がったはず。
それが、こんな結果を生むとはなんとも悲しいことですね。

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