アトラシアンという企業をご存知でしょうか。
アトラシアン(atlassian,ティッカー:TEAM)は米国株投資家の間でも比較的マイナーな企業です(オーストラリアの企業ですがナスダックに上場しています)。
JiraやConfluence, Bitbucketといったアトラシアンのサービスはエンジニア以外にはなかなか馴染みがないかもしれません。
一般にも馴染みがあるのはタスク管理サービスのTrelloくらいのものでしょうか。
日本の投資家に馴染みがないと言っても、アトラシアンのファンダメンタルズは素晴らしく、これまで急激な株価上昇を果たしてきました。
また、大手VCのアクセルがアトラシアンにも投資していることも注目ポイントです。
(アクセルは過去にFacebook, Dropbox, Slack, Spotify などの急成長したハイテク銘柄に投資してきました。)
それではアトラシアンの銘柄分析を行っていきましょう。 記事のデータソースは atlassian の公式 IR とマクロトレンドです。
目次
アトラシアンの株価チャートと配当利回り
まずはアトラシアンの株価の推移を見ていきましょう。 下のグラフがアトラシアンのここ5年の株価推移です。 時々、大きな下げを挟みつつも長期的には株価が大きく上がってきました。ここ5年でだいたい7倍くらいになっています。 素晴らしいですね。
なおこの手のグロース株にはよくあることですが、 アトラシアンは配当を出していません。
配当利回りは0%です。
アトラシアンの売上と営業利益
まずはアトラシアンの売上と営業利益から見ていきましょう。下のグラフが売上と営業利益の推移です。 成長段階にあるグロース株が目先の利益よりも売上の拡大を優先することはよくあることです。
アトラシアンもその例に漏れません。
売り上げが急速に伸びている一方、近年では営業赤字となっています。
売上の急激な伸びと、積極的な事業投資を優先する姿勢はかつての Amazon を思い起こさせます。
なお、下記グラフのように、利益率の高いサブスク事業の売上も順調に伸びているのはグッドポイントです。
アトラシアンのEPSとBPS推移
成長段階にあるアトラシアンは、利益を重視してないことは明らかですから EPS はあまり重要ではありません。それでも一応 EPSとBPS を見ておきましょう。 (BPSのデータはマクロトレンドで取得できなかった部分は空欄にしてあります)
赤字なのに BPS が伸びてきているのは増資を行っているからだと考えられます。
しかしいずれにせよ、この企業はこういったファンダメンタルズよりはサービス(JiraやTrelloなど)の利用者数を見ていった方が適当でしょう。
アトラシアンの顧客数推移
ということで、顧客数の推移を見てみましょう。ちょうど、公式IRから直近のデータが手に入りました。 やはり顧客数が順調に伸びていますね。
なお、ここでいう顧客とは
アクティブな有料ライセンス保有 または 月に約10ドル以上の課金サブスク を実行している独自ドメインを持つ組織を言います。
アトラシアンの発行済株式数
次に atlassian の発行済株式数の推移を見ていきましょう。下のグラフにアトラシアの発行済株式数の推移をまとめました(単位は100万株です)。 徐々に発行済株式数が増加していることがわかります。
現段階では株主への還元は意識せずにあくまでも事業を拡大させて行こうと言う姿勢が見て取れます。
アトラシアンのビジネス内容
さて肝心要のアトラシアンのビジネスを見ていきましょう。アトラシアンのビジネスはエンジニアもしくはIT企業をサポートするようなサービスがメインです。
特徴的なのは、アジャイル開発を支援するためのサービスをメインに開発していることです。
アジャイル開発とは、スタートアップなどに人気の開発スタイルです。
計画段階でソフトウェアの細かい仕様を決定せずに、小さい開発サイクルを繰り返すことで臨機応変にプロダクトを作っていきます。
アトラシアン自身もアジャイル開発を積極的に取り入れているといいます。
具体的なサービスはバグや課題管理をするシステムであるJIRA(ジラ)や、社内の情報管理システム、Confluence(コンフルエンス)などがあります。
僕個人としては、アトラシアンのサービスに関しては気になる点もあります。
僕自身アジャイル開発を取り入れた現場にいくつか関わってきましたが、正直アトラシアンのサービスを見かけることはあまりありませんでした。
例えば、アトラシアンが保有するサービスにBitbucketというものがありますが、これに関連するバージョン管理システムのMercurial自体が使われているところをまだ一度も見たことがありません。
バージョン管理といえば、最近はgitがあまりにも支配的です。
Microsoft 傘下のgithubが 非常に素晴らしいサービスを提供してることもあって、今後もますます git の存在感が増していくのではないかと僕は思っていま
す。
ちなみにBitbucketはgitにも対応していますが、githubやgitlabに遅れを取っている感は否めません。。
(2020/5/28 追記:Mercurialのサポートは2020年6月までで終了するようです)
アトラシアンは、データを見る限り非常に成長性が高く、マーケットからも期待されている銘柄ではあります。
が、自分自身が atlassian のサービスの利便性を今ひとつ実感できないことから、中々買い辛い銘柄だなと個人的には感じています。
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