どうも、こんにちは。きむ公です。 JT(日本たばこ産業)株は、相変わらずの人気です。
僕が使っているマネックス証券の取引口座数ランキングでも最近JTがいつも上位にいます。
なんといってもJT株の魅力はその配当でしょう。
2020年6月22日現在、JTの配当利回りは7%を超えています。
株価は2100円台後半です。
今回はそんな大注目のJT株の分析を行います。
この記事を読むことで、
- JTの事業内容と収益力
- JT株に潜むリスク
- JTの財務状況
目次
JTの事業内容
主力はもちろんタバコ販売
JT(日本たばこ産業)といえば、言わずと知れた国内最大手のたばこメーカーですね。煙草は規制産業です。
日本ではこのJTのみが煙草の製造を行うことを認められています。
この法の壁は、強力な競争優位性として働きます。
ただ、既存の商圏は保護されている一方で、新しい事業展開は苦手なようです。
加熱式たばこについては、ブームに乗り遅れてしまいました。
先んじたのはアメリカのタバコ・メーカーのフィリップモリスです。
JTの加熱式たばこ「ブルームテック」はフィリップモリスの「iQOS」の9分の1程度のシェアしか取れていません。
また、JTは積極的な海外展開でも知られています。
売上の半分以上が海外たばこの販売であることを皆さんは知っていたでしょうか。
海外たばこに次いで国内たばこの販売が多く、その割合は3割弱です。
それに続く加工食品と医薬品の割合がそれぞれ10%に届かない程度となっています。
食品と医療品事業も手がける
一般の人にはあまり知られていませんが、JTは実はタバコの他にも食品・飲料や医薬品も作っています。JTの加工食品というと中々イメージが湧きませんが、冷凍食品のうどん・そば・ラーメンといった麺類やその他の惣菜をイメージしてもらえばOKです。
その他、パックごはんやカップ麺などの常温食品も手がけます。
要は、コンビニやスーパーにある食品をたくさん作っているということです。
医療品の方は、血液関係の病気の治療薬や、アレルギー検査時に補助的に使える薬などを製造しています。
JTはM&A企業でもある
また、JTはその他色々な事業に手を出してきました。以下にJTがこれまで参入した事業をまとめます。
JTがこれまで参入した事業
- ファーストフードチェーン「バーガーキング」
- 飲料事業(桃の天然水など)
- チューインガム製造
これを事業が下手と見るか、損切りが上手いと見るかは判断が分かれるところでしょう。
ただいずれにせよ、JTが会社の売買(M&A)を積極的に行う企業であることは認識しておくべきです。
M&Aの成否によっては、今後たばこに代わるような収益の柱を獲得する可能性もありますし、その逆に致命的な損失を計上する恐れもあります。
JTの収益性
JTは高収益体質
JTの収益性は悪くないです。morning starによると、経常利益率は 23.98%, ROEは 14.66%もあります(2019年12月現在)。
ちなみに業種平均は経常利益率 6.24%,ROE 7.93%となっているのでその凄さが分かります。
経常利益率 | ROE | |
JT | 23.98% | 14.66% |
業種平均 | 6.24% | 7.93% |
これは、たばこという製品の特性が関連しているとみて良いでしょう。
たばこには商品自体に中毒性があります。
禁煙に何度もチャレンジしながらも、ニコチンの魔力に勝てない人を見たことがあるでしょう。
彼らは、多少値段が上がっても、たばこを買い続けるのです。
加えて、国内では唯一最大のタバコメーカーであるというブランド力で、そのJTはその収益力を維持しています。
JT株のリスク
タバコ産業の先行き不安
まず、JTの最大のリスクはタバコ産業の先行きの暗さでしょう。世界的に健康の重要性が叫ばれ、タバコは規制が進んでいます。
海外タバコのパッケージに真っ黒になった肺の気持ちわるい画像が印刷されているのをたまに見かけます。
法規制で商品にあんなものまでプリントさせられるというのは凄い話です。
実際、JTの国内たばこの売上は、2013年からジワジワと減少しています。
最早若者の間でタバコ=カッコイイというイメージは全くありません。
僕の周りでも、タバコを吸うのは全くカッコよくないという意見がよく出ます。
この潮流を止めるのは容易ではありません。
高すぎる配当〜配当性向90%〜
JT株の人気の要因は、配当が高いからです。しかし、配当の高さは同時にリスクでもあります。
もうこれ以上配当を上げる余力がないのです。
JTの開示情報によると、連結配当性向は90%にものぼります。
これは、収益が横ばいならば、これ以上の増配は厳しいことを示唆します。
一方で、先述したように今後のタバコ産業の見通しは決して明るくないという苦しい状況です。
市場もJTの将来を悲観している
これらの不安要素を市場も織り込んでいます。2月19日時点で、JTのPERは13倍(業種平均31倍)、PBRは1.51倍(業種平均2.39倍)とかなり割安になっています。
JTほどの高収益体質企業でこれは異例の安さといえるでしょう。
裏を返せば今後の業績には悲観的な見方が多いと言えるでしょう。
まとめ
JTは、ハイリスクハイリターンな株だと僕は考えています。- タバコ産業の将来性自体が非常に暗いこと
- 現状だと増配の余地がもうないこと
そして、減配の流れができれば、株価も堰を切ったように下がることが予想されます。
一方で、この手の悲観的な予想が外れた時に、JTの株主が得るリターンはとんでもなく大きいかもしれません。
実際、20世紀後半のアメリカで凄まじいリターンを投資家にもたらしたのは同じタバコメーカーのフィリップモリスでした。
当時も先行きが不安視されていたタバコメーカーでありながら、期待に反して収益を上げたために凄まじい株価上昇を実現したのです。 JTも、この先なにか一つ風向きが変われば、とてつもないリターンをもたらす可能性はあります。
例えば、たまに議論に上がるのが
技術の発達によって健康被害がほとんどないタバコが開発される
とか
大麻が解禁された時に大麻市場を独占する
といったシナリオです。
しかし現状、これらのシナリオは全くの夢物語に過ぎません。
電子タバコであろうが加熱式タバコであろうが、依然として有害性があります。
大麻についても、日本では解禁はまだまだ現実味を帯びていません。
現状大麻解禁を見据えてJTに投資する……
というのは非合理的すぎるというのがこのブログの結論です。
JTを中期間保有していた場合のトータルリターンの考察記事もよろしくおねがいします↓
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