こんにちは。きむ公です。
今回は高配当投資家に大人気の日本たばこ産業(JT) についての記事です。
日本たばこ産業は個人投資家に非常に人気な銘柄です。
最大の特徴はその高い配当利回りです。
現在、株価が下落していることもあり配当利回りは何と6%を超える水準にいます。
このことから、
もう株価は下がってもいい。配当をもらい続けているだけでも元が取れる。
などと言う発言もちらほら耳に入ってきます。
もちろん投資スタイルは人それぞれです。
当然何を買うかも完全に自由です。
ただ、長い目で見た時にJTに投資することは本当に有利なのでしょうか。
今回はそこを考えていきたいと思います。
もちろん未来のことは正確にはわかりません。
ただ、投資の判断材料にするために、
3年前から現在(2020年2月18日)までJT株を持ち続けていたらどうなっていたのか
ということを考えてみたいと思います。
目次
もしJTを三年間持っていたら毎年資産額は1割減
まずは単純に株価を見てみましょう。 これが3年分のJTの株価の動きです。ここ3年はタバコの販売の先行きが懸念されてかなり売り込まれています。
株価は右肩下がりですね。
2017年2月20日のJTの株価は3774円でした。
それが今では2255円まで下がっています。
この間の平均リターンはマイナス15.8%です。
これは、JTの高い配当金をもってしても到底埋めることができません。
毎年154円の配当をもらっていたとしても、リターンは-10%程度になるだけです。
配当再投資していた場合は、再投資で買った株がさらに下落するのでリターンはマイナス12%程度になります。
もちろん税金を考慮すればリターンはもっと下がります。
ちなみにJTは増配しているので過去の配当は154円よりも若干少ないものでした。
それも考慮すると、実際の損失はさらに若干大きいものでした。
株価の下落分を配当で埋めることがいかに難しいかが分かります。
同じ期間に日経平均は上昇している
そしてここ3年は、株式市場はむしろ好調でした。日経平均は21%以上上昇しています。
もちろん配当は考慮していません。
さらにS&P500連動のインデックスファンドなら40%以上のリターンを得られていました。
株式市場全体が好調の時に、JT株を持っている人はむしろお金を失っていたというのは注目すべき事実だと思います。
当然過去の株価だけで判断するべきではないが
もちろん、これまで下がってきたからといって今後JT株が絶対にリターンを生み出さないということでありません。むしろ、「割安になった今こそJT株をどんどん買うべきなんだ」という人もいます。
確かに今のJTのPERは13.1倍程度と市場全体から見ると微妙に割安だと言えなくもないような、そんな水準です。
株式を購入するということは、その企業の保有者になるということです。
そういう観点で見れば、今JTの株を買えば毎年購入価格の7.6%程度の利益を得られるビジネスを購入したのと同じことです(1/13.1=0.076)。
(これはJTの利益が今後も減らなかったと仮定した場合の話ですが)
ここ数年のJTの利益はほとんど成長もしていませんが、実は下落もしていません。 それを考慮すれば、JT株はいわばクーポンが7.6%の債券と同じようなものという風に考えることができるかもしれませんね。
まあ僕は株式投資というリスクを背負う以上、8%を割るようなリターンでは全く満足できませんが、そこの考え方は人それぞれだと思います。
問題は利益を維持できるかどうかだ
こういう風に見ると8%くらいのリターンでいいよという人にとっては JTは必ずしも成長する必要はない企業である と言えるのかもしれません。ただこの場合も、利益成長が必要ないというだけで現在の利益水準を維持できない場合は話が違ってきます。
そして、やはり世界的にタバコへの風当たりは厳しいですから、市場は今後JTの利益水準は下がっていくという風に見ていると考えられます。
だからこそPERの低減と共に株価が下がって、投資家が損をしているのですね。 JT株を買いたいという人は
「これこれこうだからJTの利益は今後も下がらないんだよ」
という何がしかのロジックを持っているべきだと思います。
そしてもしその予想が当たり、 JTが長期的に利益を維持できた場合に期待できるリターンはだいたい年8%くらいのイメージになる ということは認識すべきでしょう。
配当利回りがいいから、長期間持っていれば元が取れそう
なお、今回はJTのファンダメンタルズや具体的なビジネスについての考察は行いませんでした。
そちらが気になる人は、下の記事を参照してください。