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NISA制度が改変される見通しです
今、NISA制度は変革の時を迎えようとしています。
制度設立以来、証券会社や投資家からはNISAの恒久化を望む声が出ていました。
しかし、政府はつみたてNISAを維持する一方、通常のNISAは制度改変を行う構えを見せていました。
そして現在(2019年12月初頭)になって、新たなNISAの構想が明らかになってきたのです。
今回は、政府が現在方針を固めている、今後のNISAの制度設計について詳しく解説していきます。
そもそもNISAとは
NISA導入の背景
安倍政権下では「貯蓄から投資へ」のスローガンの下、国民に積極的な投資を促してきました。
少子高齢化の日本では、若い世代の社会保障費の負担が既に非常に大きな負担になっています。
年金制度はもはや維持できないであろうという声もあちこちから上がり始めています。
引退後の国民の生活を社会が支えることは今後厳しくなるかもしれません。
であれば、国民それぞれが投資活動を行って、老後の生活は自分たちでなんとかしてねということなのです。
現役世代が老後のために蓄えておくべき資産は2000万円という政府の試算が話題になったのは記憶に新しいですよね。
こういった背景の中で、政府は国民に投資を奨励しています。
それも、ハイリスク・ハイリターンのギャンブルのような投資ではなく、長期的な資産形成が可能となるような投資です。
また、長期に渡って停滞していた経済を刺激するべく、大規模な金融緩和が続いています。
例えば黒田総裁率いる日銀が大量のETF買いによって株価を下支えしていることはあまりにも有名です。
政府と日銀はこれまで一貫して、「景気拡大のために出来ることはなんでもやる」という姿勢を貫いてきました。
本当は政府と中央銀行が仲良くしすぎるのは問題だという意見もあるのですが、それは今回は一旦おいておきましょう。
国民への投資推奨と、政府と日銀の景気拡大政策。
その流れの中で出てきたのが NISA制度でした。
NISAは基本的に、投資家を優遇する制度です。
少額までの投資であれば、そこから5年間のうちに発生する利益を非課税にしてやるという、非常にメリットの大きい制度でした。
制度の概要は次の通りです。
- 20歳以上の投資家は、一人一つまでNISA口座を所有できます。
- NISA口座には、毎年120万円まで購入枠が用意されます。
- NISA口座で購入した株や投資信託は、5年間の間は利益が発生していても課税されません。
- NISA口座とその他の口座での損益通算はできません。
損益通算ができないという小さなデメリットは存在するものの、基本的にNISAはかなり有用な制度です。
実際、多くの投資家や証券会社に支持されてきました。
つみたてNISA
NISAに追随して、政府は「つみたてNISA」という制度も整備してきました。
こちらは、国民の長期的な資産形成を促すという政府の目的をより強く押し出した設計になっています。
- 投資家はつみたてNISAか通常のNISAのどちらか一つのみを選択できます。
- つみたてNISAでは、購入枠が毎年40万円分付与されます。
- つみたてNISAでは、政府が選定した投資信託のみを購入可能です。
- つみたてNISA口座で購入した投資信託は、20年間の間は利益が発生していても課税されません。
このようにつみたてNISAでは、購入枠が少ない代わりに非課税期間が長いという特徴があります。
NISAとつみたてNISAの違いでおさえるべきポイントは以下の通りです。
NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
毎年の購入枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年 | 20年 |
購入できるもの | 株・投信 | 政府が認定した投信 |
つみたてNISAには、安定した商品に長期的に投資させたいという政府の狙いがはっきりと現れていますね。
2024年からNISAはどうなる?
さて、ここにきてNISAの改変が話題になっています。
国民の安定的な長期資産形成に貢献できるように制度設計されたつみたてNISAに対し、
通常のNISAは単なる富裕層優遇になっているのではないかという意見がでてきたのです。
個人的には 、たかが年120万円の投資枠で富裕層優遇というのは違和感があります。
が、とにかく政府は批判を受け、NISA制度改変に乗り出しました。
新しいNISAの構想は以下のようになっています。
- 投資家は新NISAとつみたてNISAのどちらか一つのみを選択可能です。
- 新NISAでは毎年122万円の購入枠が付与されます(現行NISAより2万円増加)。
- 非課税期間は現行NISAと同じく5年間です。
- 新NISA利用者は、まず20万円分の枠を政府選定の安定的金融商品で埋めないと他のものに投資できません。
- リスクが高いと判断された金融商品については、投資対象から除外される可能性があります。
現在の通常NISAのうち20万円分が、つみたてNISAに置き換わったというイメージでしょうか。
もっとも新NISAの20万円分の枠についても非課税期間が20年ではなく5年になっている点には要注意です。
気になるには、新NISAの20万円枠にあてがわれる投資信託のラインナップですね。
さらに、新NISAでは購入が不可能になる金融商品が何か、という点にも注目が集まります。
しかし、いずれにせよ現段階の新NISA構想を見るに、
引き続きNISAが投資家にとって有用な制度であり続けるのは間違いなさそうです。
個人的には「NISA廃止」のようなことにならずに本当に良かったなという感想です。
年間の非課税枠はそう多くないとは言え、これが無ければ確定した利益のうち約20%も税金として持っていかれますからね。
特に2019年終盤の上昇相場で儲けた人は、NISAで得をされていることと思います。
これからもNISAをめぐる動きからは目が離せませんね。
当ブログでは、引き続きNISA制度の動向に注目していきます。
では、また次回の記事でお会いしましょう。
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