人気の投信・ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)をオススメ出来ない理由を東大卒投資家が解説する

こんんちは。きむ公です。

皆さんはニッセイグローバル好配当株式プラスという投資信託をご存知でしょうか。

おそらく知っている方も多いと思います。
なにせ、人気投信ランキングの常連ですからね。
マネックス証券の投信ランキングで4位をとっている
しかしこの投信、個人的には全く投資したいという感覚を抱かないです。
正直なぜこの投資信託が人気なのかわからないというレベルです。
今回はこのニッセイグローバル好配当株式プラスについて解説していきます。

この記事を読むことで、
・このファンドの概要
・このファンドの危険性
・このファンドに向いている人
がわかります。

ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)とは?

ニッセイグローバル好配当株式プラスとは、ニッセイアセットマネジメントが運用する投資信託です。
この投信は、世界の高配当株式への投資と、オプションの売りによって利益を獲得することを目指すファンドです。

公式サイトによると、コンセプトは以下のようなものということです。
ニッセイグローバル好配当株式プラスのコンセプト
  • 高配当株式への投資と”プレミアムプラス戦略”により、安定した収益の確保と値上がり益を目指す。
  • 毎月決算を行い、分配金を払う
このファンドでは、株価上昇よりも配当収入を重視します。

後で詳しく見ていきますが、金融・エネルギー・ヘルスケア・素材といった成熟産業に投資することで配当による収益を得るということです。

さらにこのファンドでは、配当による収益の他に、オプションの売りを組み合わせます。(オプションってなんやねん、っていう方は複雑なことをして利益を伸ばそうとしているんだくらいに考えて貰えばOKです)

そして、得た収益を毎月投資家に払い戻すことを目指すということですね。 (後でも述べるように、ここにワナがあるわけですがw)
ちなみに、ニッセイグローバル好配当株式プラスでは、イギリスのファンドを通じて運用を行っています。
つまり、ニッセイグローバル好配当株式プラスを購入したお金は、内部でさらに別のファンドを購入することに充てられているということです。

具体的には、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が運営する
「シュローダー・インターナショナル・セレクション・ファンド・グローバル・ディビデント・マキシマイザークラスJ」
に投資されています。
2019年12月20日発表の資料によると、全資産の96.4%がこのイギリスのファンドに投資されています(残りの3.6%は現金等)。
なので、このファンドを買うということは、実質的に先述したイギリスのファンドを購入していることと同じです。

ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の基本データ

では、ファンドの基本情報を見ていきましょう。
購入時手数料 3.3%を上限として販売会社が設定
信託財産留保額なし
信託報酬 年率1.727%
まず、購入時手数料は3.3%が上限となっています。
この販売手数料は、ニッセイアセットマネジメントではなく、販売会社が設定するものです。

つまり、お使いの証券会社によって料金が変わります。
これは勘違いしている人が結構いるポイントです。

全く同じものを買うのですから、当然一円でも販売手数料が安いところから買うべきです(参考までにマネックス証券を調べてみた所、申込み手数料は0円でした)。

ちなみに、こういった投資信託の仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

【保存版】投資信託とは何なのか?初心者に投資信託がオススメできる理由を分かりやすく解説する

2019年12月3日
信託報酬についてですが、年率1.72%は、はっきりいって高いです。
アクティブファンドとして見れば、超高いというほどではないかも知れませんが、 僕の感覚からすると1.72%というのは余程のことがないと買わないレベルです。

マザーファンドのシュローダー社のファンドの信託報酬がそもそも高いのでしょう。
その分が最終的に我々投資家へのコストとなって重くのしかかっています。

次に基準価額の変動と、分配金です。
青線:基準価額変動 水色線:分配金を再投資した場合の基準価額変動
今現在(2019年12月下旬)の分配金は毎月100円です。
これに対し、基準価額は3507円です。

分配金が月100円貰えるということは、分配金利回りは

100円×12か月÷3507円 = 約37%

となります。

分配金利回り37%と聞くと、一瞬夢のようなファンドな気がしますが、それは幻想です。
後で詳しく述べますが、要は典型的なタコ足配当銘柄だということです。

ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)の投資対象

さて、このニッセグローバルは、どのような銘柄に投資しているのでしょうか。
資料によると、組入れ銘柄上位10社はこの顔ぶれです。

イギリスのファンドを通じて運用を行っているだけあり、イギリスの会社が多いです。

そして、成長産業と言うよりは成熟産業に重点投資していることもわかります。
金融にエネルギーにヘルスケアに素材ですからね。
これらのセクターは、株価上昇があまり期待できない代わりに、高配当を出してくれる傾向があります。

「高配当銘柄に投資する」というこのファンドのコンセプトからすると合理的です。

また、ITセクターからはIBMとインテルがランクインしています。
インテルはともかく、IBMは世界中の投資家から「永遠の不発弾」と呼ばれていることでおなじみです。
要は、株価の動きが冴えない企業です。

が、よくも悪くも安定はしていて、配当利回り4%を余裕で超えるという高配当銘柄ではあります。
ちなみに、ニッセイグローバル好配当株式プラスでは、そもそも投資対象銘柄の株価上昇はあまり狙っていません。
仮に値上がりしたとしても、オプション取引の関係上(コール・オプションの売りを行っている)、利益を得ることができないのです。


ここから言えるのは、ニッセイグローバル好配当株式プラスにとっては、 投資対象の企業の株価がどう変動するかよりもむしろそれらの企業が減配しないかどうかの方が大切だということです。

なので、このファンドをもし持っている方がいるのであれば、そこに着目した方が良いでしょう。
とはいっても、アメリカ株はまだしも、情報が少ない欧州株をウォッチし続けるのはかなり大変です^^;

ニッセイグローバル好配当株式プラスの問題点

さて、ではいよいよこのファンドの問題点に切り込んで行きましょうか。

このファンドの最大の難点は、タコ足配当を出しているに過ぎないという点です。
言い換えると、顧客から預かった資産をそのまま顧客に返しているだけなのです。

それは、基準価額推移図にも現れています。
青線:基準価額変動 水色線:分配金を再投資した場合の基準価額変動
分配金を再投資しない場合の基準価額が、ここ最近右肩下がりですね。
これは、単にファンドの資産を切り崩したものを分配金として投資家に返しているだけなのでこうなっているのです。

本来、意味のある分配金とは、ファンド自体の価値上昇分から払われるべきです。
投資先の企業がものすごく成長して、ファンド自体の価値が上がり、その上がった分を投資家に還元するという図式ですね。
これであれば、顧客の資産は増加しているといえます。

しかし、ニッセイグローバル好配当株式プラスの場合は違います。
ファンドが産んだ価値上昇分より大きな金額を分配しようとするので、必然的に原資を切り崩すしかないのです。

この手のファンドは基本的に分配金を維持できません。

資産があまり増えていなのですから当然です。
ファンドを維持するには、購入者に払い戻すお金を減らしていくしかありません。
実際分配金は次の表のように減ってきています。
2016/4 300円
2017/4 200円
2018/4 150円
2019/4 100円
そしてこの傾向は今後も続く可能性があります。
さきほど、分配金利回りが30%を超えていると言いましたが、それはあくまでも
  • 基準価額が下落せず
  • なおかつ分配金が維持できた
場合の話です。

実際、利回り30%などという投資案件はそうそう転がっているものではないので、こういう話を見たら警戒することをお勧めします。

このファンドに向いている人

ここまで僕はかなりニッセイグローバル好配当株式プラスに対して批判的な態度を取ってきました。

それでもあえて考えてみます。
どういう人がこのファンドの保有に向いているのでしょうか。
僕は、強いて言うなら高齢者だと考えます。
資産増加を目指すよりも、安定しているものに投資したい
とにかく定期的にお金が入ってくると嬉しい
というニーズがある場合は、ほんのわずかだけこのファンドを保有することを検討してもいいかもしれません。 (それでも他の投資対象をまず先に検討すべきだと思いますが)


以上のニーズを満たすのは高齢者が多そうだということで、このファンドはあえて言うなら高齢者向けだと結論づけます。

まとめ

ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)は大人気のファンドです。
おそらく高い分配金利回りと、毎月お金が入ってくるという仕組みが理由なのでしょう。

しかし、美味しい話には裏があるもの。
結論として、当ブログではこのファンドを以下の理由からオススメしません。
ニッセイグローバル好配当株式プラスをおすすめしない理由
・タコ足配当であるために、分配金を維持できない可能性が高い
・タコ足配当であるために、基準価額が低調である可能性が高い
もちろん、この記事は投資判断を強制するものではありませんが、参考にしていただけると幸いです。
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