この記事では有名なレバレッジ ETFであるSPXSを解説します。
記事を読んでわかること
・そもそSPXSとはどういうETFか・SPXSのこれまでの株価の動き
・SPXSのメリット
・SPXSのリスク
・SPXSを活用した投資法の例
目次
SPXSとは
SPXSはアメリカの代表的な株価指数である S & P 500と逆の値動きをする ETF です。しかも3倍のレバレッジがかかっています。
要するに、 S & P 500が1日で5%下落すればSPXSは15%上昇するということです。
なお正式名称を”Daily S&P 500 Bear 3X Shares”と言い、運用会社はレバレッジ ETF でおなじみのDirexion社です。
組み入れ銘柄
次にSPXSの代表的な組入銘柄を見ていきましょう。と言っても S & P 500をターゲットにしている以上、上位銘柄は S & P 500のそれと同じです。
具体的には下の画像の銘柄です(2020年7月現在)。 SPXSを購入すると実質的にこれらの銘柄をレバレッジをかけながらショートしていることになります。
どれも長期的には成長性が高い銘柄ばかりですので、SPXSが長期投資にあまり向いていないことが察せられますね。
SPXSの株価推移
次にSPXSの株価推移を見てみましょう。下のグラフがSPXSのここ1年ほどの株価推移です。
この期間(というか歴史的に長期間)S & P 500は右肩上がりでした。
つまり、それにひたすら逆らい続けたSPXSは長期的にどんどん株価が減少してきたということです。
一方で、時々訪れる暴落局面では短期的に大きなリターンが発生していることも見て取れます。
下落相場で大きなリターン狙える
SPXSのメリットは下落局面でも手軽に大きなリターンを狙えることです。株式相場は一般的に上がる時はゆっくりですが落ちる時は一気に落ちます。
「買いは乙女のように、売りは脱兎のように」
という格言もあるほどです。
ということはこの手のレバレッジ・インバース ETF は短期で数十パーセント以上のリターンを狙うことができるということです。
もちろん、コロナショックなどの暴落をピンポイントで当てる事が出来ればの話ですが。
リスク
SPXSにはたくさんのリスクもあります。株価変動が大きい
まずは3倍のレバレッジがかかっていることから株価変動が大きいです。これはSPXS特有のリスクというより、レバレッジ ETF 全てに言えることです。
100万円買ったなら、実質的に300万円分のお金を投じているということを肝に銘じておきましょう。
なお、 レバレッジ ETF をNISA 枠で購入することで、実質的に NISA の枠を3倍にしているようなものだという主張も時々見かけます。
なかなか面白い考え方だと思います。
長期投資に向かない
先ほどの株価チャートからもわかる通り、SPXSは長期投資には向きません。米国経済はこれまで100年以上も長期的には右肩上がりで成長してきました。
何年間もずるずるとSPXSを持ち続けていれば、株価が1/10、1/20になっても全くおかしくありません。
SPXSは
・ロングポジションのヘッジとして短期間保有する
・何か相場が下がる確信があるときのみ保有する
といった使い方が望ましいです。・何か相場が下がる確信があるときのみ保有する
あくまでも短期でケリをつけましょう。
ボックス相場に弱い
また、株価が一定の範囲内を上げ下げするボックス相場にも弱いです。この手のレバレッジ ETF は1日ごとにポジションの調整がされます。
SPXSの場合だと、 S & P 500の価格が下がるとその分 ETF の内部で株を株をショートするポジションが増やされます。
逆に S & P 500の価格が上がると、ポジションが減ります。
要するに、一日毎に内部でポジション調整をすることで毎日 S & P 500値動きの3倍になるようにしているわけです。
このことが関係して、方向感のない相場では徐々にSPXSの株価が下がっていくことがあります。
キッチリ3倍の値動きにならないことがある
相場が急激に動く時は、内部でのポジション調整に失敗し、値動きがS&P500の-3倍からずれることがあります。「せっかく暴落相場を捉えたのに、思っていたよりリターンが少し低かった」ということになる可能性があるのです。
これもSPXS特有のリスクというよりレバETF全般に当てはまるリスクです。
投資法の一例
最後に僕が実際にやっているSPXSの投資法の一例を紹介します。長期投資家の僕は、こういったベア型の ETF を単体で購入することはありません。
SPXSで利益を狙うというよりは、他に持っている現物株のリスクヘッジとして購入しています。
相場が下げそうだな、と感じた時に少し買っておく感じです。
①現物株ポジションと合わせてこのSPXSも購入しておく
②相場が下落すればSPXSを利益確定
③SPXS売却の利益で下がった現物株を買い足す
といった運用です。 ②相場が下落すればSPXSを利益確定
③SPXS売却の利益で下がった現物株を買い足す
この場合、SPXSで損失が出た場合、大概現物株の方が上がっているのでリスクが限定的になります。
(その分相場が上がった場合現物株で得られていた利益が、SPXSの損失に少し消されます)
他にも色々運用法はあるかと思います。
しかしいずれにせよ、この ETF は初心者向けではありません。
投資する時はあくまでも余剰資金で行うと良いでしょう。
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