投資と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、株式投資と不動産投資ですよね。
もちろん中には両方やっているという人もいます。 株と不動産。
日常的にもよく聞く言葉ではありますが、それぞれのメリット・デメリットを正確に把握している人は意外と多くありません。
ちなみにこれを書いている僕(きむ公)は株・不動産両方の投資経験があります。不動産は駐車場経営、株は米国大型株に長期投資するというスタイルで、どちらの方法でも利益を出しています。
実際、僕のように株と不動産のどちらの方法でも利益を出すことは可能です。
が、この二つの投資には色々と違いがあります。
そこで今回は、株と不動産それぞれのメリットとデメリットを整理してみました。投資を始める時の参考にしてもらえれば、と思います。
目次
株のメリット
流動性が高い
株のメリットとしてまず挙げられるのが、流動性が高いことです。株は基本的に、売りたい時にすぐ売れます。
もちろん買いたい時に買うことも容易いです。
非上場の株になると話はまた変わってきますが、大抵の人が取引するのは上場している株式です。
ネット証券を使えば、たったの数クリックで株の売買が可能です。
しかも手数料は0.5%以下にすることも可能です。
簡単に売買できるのは大きなメリットですね。
手軽に分散投資ができる
株の場合、一つの銘柄に集中的に投資するのも、多くの銘柄を所有するのも自由です。卵はひとつのカゴに入れるな
という有名な投資格言があります。
多くの銘柄に資産を分散することで、ポートフォリオ全体の価格変動をなだらかにすることが可能です。
株式の場合だいたい数万円程度から買えるので、複数の銘柄を購入するのも容易いと言えます。
手間がかからない
株は基本的に買ってしまえば後はやることはありません。勿論、株主総会に出席するなどの権利を行使することはできます。
しかし、会社の経営に興味がない場合は何もやる必要はないと言えます。
不動産の場合は、物件の修繕が必要になったり、空室が出たら広告を打ったりと色々面倒事が生じえます。 「ラクであること」は株の大きなメリットですね(とはいえ、買った株が本当に良い株なのかは常に考え続ける必要がありますが)。
株のデメリット
レバレッジがかけ辛い
株はレバレッジを効かせることが難しいです。「レバレッジを効かせる」とは、要は他人の力を借りて投資のリターンを何倍にも増やそうとする行為です。
多くの場合、それは借金を指します。
借金して投資し、儲けを増やそうということですね。 株の場合は、不動産に比べて圧倒的にレバレッジがかけ辛いです。
不動産は、購入する不動産自体を担保にして銀行から融資を受けることができます。 一方、これから購入する株を担保にしてお金を貸してくれる銀行はまず無いでしょう。「信用買い」といって、証券会社に借金をして株を買う方法もありますが、レバレッジはせいぜい約3倍が限界です。 ということで、株は自己資金をメインに行う必要があるというわけですね。
よって、株で大金持ちになりたいならある程度の元手が必要になります。
価格の変動が大きい
株はハイリスク・ハイリターンの投資だと言われます。それだけ他の資産クラスに比べて価格変動が大きいのです。
実際、リーマンショックの時には株価が8割下がった銘柄も珍しくありませんでした。
また、東日本大震災の時の東京電力は株価が十分の一になりました。
下がる時は残酷なほどに下がるのが株です。 一方、上がる時は上がるのも株です。
例えば、アップルの株は2019年12月までの約11年で20倍にもなっています。
日時 | アップル株価 |
2009/1/2 | 12.96 |
2019/12/9 | 270.71 |
不動産のメリット
大きなレバレッジがかけられる
銀行から借りたお金で、自己資金を大きく超えた額を投資できるのは不動産の大きな魅力です。レバレッジ20倍ということも珍しくないですし、物件購入費用を全て融資で賄うフルローンも可能です。
さらに、不動産取得税や将来の修繕費用を見越して物件購入費用以上の金額を借りるオーバーローンという手法すら存在します。 不動産投資では、融資を利用することで投資の効果を何倍にも倍増させ、少ない元手から大きな資産を築くことが狙えます。
一方、多くの場合に銀行融資を利用する都合上、失敗すると借金を背負う危険性があることには要注意です。
節税効果がある
株式にはない不動産のメリットとして節税効果が挙げられます。例えば、マンションは時とともに劣化していきます。
時々刻々と、建物は古くなり、その価値は減少していきます。
実は、建物が経年劣化で価値が減少した分を税制上の損失としてみなせるケースがあるのです。
つまり、建物の価値が減少した分、課税される所得を減らせる(=払う税金が少なくなる)可能性があるのです。
株も、損益通算で節税効果を発揮できます。
が、損益通算はあくまで株同士で行うものです。
(株の損益通算について興味がある方は次の記事の「株で損を出している場合は、税金関係は何もしなくて良いですか?」という質問に対する回答を参考にしてください)
総合的に考えると、節税効果は不動産のほうが大きいと言えるでしょう。
投資を続ける中で人脈ができる
不動産投資には色々な人が関係してきます。不動産屋・銀行・大家仲間・居住者などなど。
一度縁が出来た不動産業者や銀行とはその後も関係が続いていくこともあります。
付き合いの出来た不動産屋からいい物件を優先的に回してもらえるようになった
返済実績のある銀行から低い金利で融資を受けられるようになった
という声はしばしば耳にします。
このような「人との繋がり」は株式投資家よりも不動産投資家の方が得ている傾向にありますね。
DIYなど工夫が可能
建築業に関わっていた人は不動産投資で有利になることがあります。ボロ物件を安く仕入れ、自分で直して高く売るというのは一つの不動産投資法です。
こうなってくると、単純な投資というよりは不動産再生事業としての側面を帯びてきます。
が、DIYに関する自分の知識や技術次第で、大きなリターンが狙えるケースがあるのは間違いありません。
不動産のデメリット
流動性が低い
不動産のデメリットは流動性が低いことです。不動産は株よりも売るのに時間がかかります。
不動産屋と交渉したり、広告を打ったり、やることは色々です。
しかも売買にも色々とルールがあります。
手付金に関することや融資特約の取り決めなど、株よりはるかに売買が面倒で時間がかかることは間違いありません。
さらに登記などのお役所手続きもあります。
しかも不動産は「早く売ってしまいたい」と売却を急ぐと安く買い叩かれることもあります。
不動産の売却は計画的に行うべきものです(そもそも購入時に出口戦略が確立していることが望ましいです)。
税金がかかる
不動産は持っているだけで税金がかかります。不動産はうまく使えば節税にもなりますが、無計画に投資するとむしろ税負担を増やすことにもなってしまいます。
主な税金は固定資産税ですね。
株は含み損が出た時に放置していても(いわゆる塩漬けですね)、あなたの懐からお金がでていくことはありません。
ところが、不動産の場合はそうはいかないのです。 仮にあなたが何もお金を産まない不動産を所有し続けていたとします。
その場合でも、あなたは固定資産税を払い続けなければいけないのです。 また、不動産は取得時にも不動産取得税がかかったりと、何かと税金の問題はついてまわります
物件のメンテナンスの必要がある
家賃収入は不労所得と言われることもありますが、実はそうとも限りません。物件のメンテナンスを行う必要があるのです。
設備は日々老朽化していきますし、物件の壁や廊下も汚れていきます。
空室率を下げるためには、そういう部分のケアが要求されます。 面倒な管理をしたくないという場合は、一括借り上げを利用してメンテナンスを業者に委託するという手もあります。
が、そうすると当然得られる収益は減ってしまいます。
その他、サブリース契約には悪徳業者も存在するため、取引業者や契約内容の入念な調査といったことに労力を使う必要もでてきます。
株の方が合っている人
ここまでで、株と不動産のメリット・デメリットが大分整理されてきました。以上の内容を踏まえ、僕は株と不動産それぞれに合っている人を以下のように分類します。
とにかく投資に手間をかけたくない人
株の方が不動産よりも手間がかかりません。- とにかく仕事が忙しい
- 自分はとても面倒くさがりだ
- などといった人は不動産よりも株式投資がオススメですね
既にある程度の資産がある人
「レバレッジがあまり効かない」という株のデメリットも、既にまとまった資産があればさほど気にならないかもしれません。元手がたっぷりあれば、株でも大きな収益を狙えます。
ちなみに、自分の資産を変動の大きい株にあまり投資してくない、という人はリスクの小さい投資信託を活用することも可能です。
投資信託については、こちらで解説しています。
不動産に向いている人
属性が良い人
「他人のお金を借りて投資ができる」という不動産のメリットを活かすには、まず融資が受けられないと話になりません。そこで、社会的に信用があったり、担保資産を持っていたりする「属性がいい人」は不動産投資では有利です。
一気に資産を増加させたい人
不動産投資では大きなレバレッジを効かせることができるので、少ない資産から大きなリターンを狙えます。ただ、失敗した時のリスクも大きくなることはくれぐれも認識しておいてください。
物件を見る目を持っている人
DIYなどの知識があればより良い不動産取引ができる可能性があります。また、建築の知識があれば思わぬハズレ物件を掴んでしまうリスクも減ります。
仕事柄、建物には詳しいという人はすでに不動産投資における武器を一つもっていると言えるでしょう。 以上が筆者なりの意見になります。
ただ、株や不動産に限らず投資では「自分で考え抜く」ことが最も重要になります。
自分にはどんな投資が向いているのかよく考えてみてください。
もちろん、「投資をしない」という選択もアリでしょう。
人は投資をすることで幸せになることが多いと僕は考えていますが、リスクを取る取らないは自由です。
気楽に考えて決めればいいんです。
では、また次回の記事でお会いしましょう。