「患者がリモートでパーソナライズされた医療サービスを受けられるようにする」
という事業内容は、今後の世の中にフィットしています。
サブスクモデル(定額課金)の収益が大きいことも特徴です。
会員はオンラインでインフルエンザなどの診断や、慢性的な病気の診療を行うことができます(都度払い制の収益もあり)。
考えてみれば、確かに従来のオフライン診療スタイルは面倒が大きいです。
どうせ毎回同じような診療をする場合でも一々通院する必要がありますからね。
こういったユーザーペインを取り除くビジネスということのなのでしょう。
実際、テラドックによれば利用者の9割超が満足しているとのことです。
そんなテラドックはこれまで長期でかなりの株価上昇を示しており、僕自身も投資候補に入れています。
この記事は、そんなテラドック株価について調べたことを防備録も兼ねてまとめたものです。
データソースはmacrotrendsと公式IRです。
目次
テラドックの株価推移と配当利回り
下がテラドックの株価推移チャートです。(常に最新の約一年分の株価データが表示されます) finviz.comより(参考:株価チャートのブログ埋め込み方法について)
上場以来、株価は右肩上がりで上昇してきています。
特に 2020年前半のコロナショックの時は市場の暴落をよそに3ヶ月も経たずに株価が倍になる程の値上がりを見せました。
しかしこの記事執筆時点(2021年4月)では、株価は若干停滞しています。
その最たる原因として考えられるのが、リボンゴヘルスを2兆円弱で買収したことです。
買収自体は両社の株主の反対もなくスムーズに成立したようですが、この買収にはかなりの増資を伴いました。
テラドックの新規発行株は5800万株を超え、株主価値の希薄化を招きました。
要は事業自体に問題があって株価が停滞しているのではなく、資金調達のために株を発行しまくったのでマーケットで受給が崩れているということですね。
とはいえPSRは15倍程度あり、一般的な銘柄と比較するとはるかに割高ではあります。
あくまで以前のテラドックや他の超グロース株と比較すると少し割安かなと言った感じです。
なお、テラドックは現在は株主還元よりも事業拡大のフェーズにいます。
よって配当は0ドル、つまり無配当です。
ちなみにテラドックが上場しているのはナスダックではなくニューヨーク証券取引所です。
テラドックの売上高と営業利益の推移
次にテラドックの売上高と営業利益の推移を見ていきましょう。 売上高が、爆発的に増加してきています。2013年から2020年の間に売上高は50倍以上になりました。
大小のM&Aを繰り返しながら、どんどん規模を拡大しています。
一方の営業利益はずっと赤字ですね。
この手のグロース銘柄の典型的な状態と言えるでしょう。
今は赤字を掘りながら、どんどん規模を拡大していくフェーズということですね。
EPSとROE
赤字なのであまり意味がありませんが、一応EPS( 一株当たりの純利益)とROEの推移も載せておきます。参考程度に見ておいてください。
BPS
こちらは BPS(一株当たりの純資産)の推移を表したグラフです。個人的にはテック関連銘柄ではBPSを見る意味はそんなにないと思っているので、こちらも流し見程度でよいでしょう。 2020年に BPS が爆発的に増加しているのは、先述のリボンゴ買収が関連していると思われます。
要はリボンゴを吸収した分、バランスシートが変化し発行済株式数に対する純資産が爆増したと理解しています。
発行済株式数の推移
こちらは発行済み株式数の推移(単位は100万株)です。 定期的にM&A費用等の資金調達をエクイティで行うので、どんどん発行済株式数が増加しています。PSRの推移
さて、テラドックは赤字企業なので割高さの判断にPER(株価と純利益の比率)を使うのは適当ではありません。代わりに、PSR(株価と売上高の比率)を使ってみます。
以下は PSR の推移です。 一時期は PSR が20倍に到達しようとしていました。
しかし最近は少し落ち着きを取り戻し、PSR15倍ほどで取引されていますね。
PSR15倍というと、一般的な銘柄としてはめちゃくちゃに高いです。
しかし、ウォール街で注目されている他の銘柄、例えばzoomやoktaなんかを見るとPSRが30倍をこえていることが普通です。
それに比べるとむしろ割安とも言えますが、いずれにせよ凄い世界です。
テラドック(TDOC)の将来性
最後にテラドック株の将来性についてみていきましょう。ポジティブ要素:事業拡大
まずは一番重要な事業拡大についてです。ここについては僕はかなり楽観的です。 売上高のグラフからも分かるとおり実際にどんどん規模拡大してきています。
一人の消費者として考えてみても、これまでのようにちょっとした風邪や体調不良で病院まで行くのは面倒くさいです。
そもそも病院で他の病気をもらって来たら元も子もないよな、とも思います。
コロナをきっかけに世界的にリモートで人とやり取りすることへの抵抗がだいぶ下がったのも追い風です。
競合としては、最近アマゾンなどの強力な企業もリモートメディカルに注力し始めているようです。
競合が増えることは一見マイナスに思えますが、その分野全体の黎明期にあっては単純にマーケットが拡大するのでプラスの面も大きいです。
今現在、日本に住んでいると遠隔医療には全く馴染みがないですよね。
これから先遠隔医療マーケット自体が米国以外の国でもどんどん膨らんでいく可能性はあると考えています。
ちなみに、テラドックの場合は法人顧客(従業員にテラドックのサービスへアクセスする権利を付与)が大きな収益源になっています。
将来的には日本でも、大企業の福利厚生の一環としてこういったサービスが浸透していくのかもしれません。
いずれにせよ、年間数十パーセントの売上増加がしばらくは継続することを期待しています。
ネガティブ要素:増資・現在の割高感
しかし、当然いいことばかりではありません。テラドックだけに限りませんが、この手のグロース企業は頻繁に新株発行を行って資金調達します。
マーケットがネガティブに受け取ると、その度に一夜にして10%以上株価が落ちても不思議ではないです。
まあこれは逆に言うと、今がちょっとしたチャンスであると考える材料にもなります。
直近で大きな資金調達を行った結果として株価が押し目を形成していますからね。
(実際に僕も近々少し買いを入れてみてもいいかなとも思っています。)
とはいえ、PSR15倍という数字は慎重に受け止める必要があります。
参考
成長性があまり期待されていない株、例えばエネルギーセクターのエクソンモービルではPSRは1倍台です。
事業内容がいいものである代わりに高い値段を払って買わなければならない、というジレンマが発生しています。成長性があまり期待されていない株、例えばエネルギーセクターのエクソンモービルではPSRは1倍台です。
(SaaS関連銘柄等をあさっている人にはいつもの事だと思いますが)
金利上昇
その他のリスクです。長期金利が大きく上がると、テラドックのような高成長銘柄の株価は下落しやすいです。
実際に2021年前期の長期金利の急上昇では、多くの割高銘柄が下落しました。
まだまだ長期金利は1%台なので、ここから長期的に上がっていく可能性は高いです。
こればっかりはどれだけ一企業が努力しようがどうしようもないです。
個人的には
・ヘルスケア×テックという事業領域
・市場自体が成長中
・直近少し割安になっている
という要素を考慮して、購入候補のかなり上の方に位置しています。・市場自体が成長中
・直近少し割安になっている
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