今回は過去に驚異的なリターンを叩き出してきたレバレッジETF、TECLについて解説します。
一瞬で資産の大半が溶けるリスクがある反面、いいタイミングで買えれば一生遊んで暮らせる程のリターンも狙える非常にスリリングなETFです。
なお、記事のデータソースは運用会社のDirexionの公式サイトです。
目次
TECLとは
TECLは正式名称を「Direxion デイリーテクノロジー株ブル3倍 ETF」と言います。一日毎に、参照指数・XLKの3倍の値動きを実現するように設計されています。
XLKは米国の一部の大型ハイテク銘柄の株価に連動する指数です。
要するにアップルやマイクロソフトと言った、今をときめく米国ハイテク株に3倍レバレッジをかけて投資できるということです。
また、TECLの経費率は少し高めの0.95%となっています(レバレッジ ETF としては標準的な手数料です)。
注意が必要なのは、
1日ごとの価格の変動が3倍になるように設計されている
ということです。
1ヶ月、1年などの異なる期間で見た場合には、必ずしも参照指数の3倍の値動きにはなりません(後述)。
TECL の組み入れ銘柄
TECL の特徴はアップルやマイクロソフト、VISAやマスターカードなどの成長性の高い優良銘柄で全体の半分程度が占められていることです。銘柄比率の詳細やセクター比率は下の表の通りです。 これらの銘柄は過去長期にわたり莫大なリターンを叩き出してきました。
これにより、その3倍の値動きをする TECL のリターンも非常に大きくなったというわけです。
TECLの株価は一時期、10年間で何と70倍にもなっていました。
TECLの株価推移とリターン
次のグラフが TECL のここ1年ほどの株価の推移です。こちらは2015〜2020までの5年間の推移です。株価上昇時の上げ幅には凄まじいものがあり、 2020年3月までは5年間で10倍になるペースで成長を続けていました。
しかしその後、コロナショックで株式市場は大暴落。
かと思えば瞬く間に急回復しました。
グラフも滅茶苦茶ギザギザしていますね笑
この記事執筆時点(2020/7/11)で、TECL株価は直近高値の8割弱です。
暴落が起きると TECL のようなレバレッジ ETF は凄まじく下げます。
なんとコロナ相場ではたった五日間で4割下げたこともありました。
いやはや、恐ろしいですね。
やはりレバレッジETFはやはり初心者向けの商品とは到底呼べないでしょう。
TECLのリスク〜右肩上がりの相場でしか買ってはいけない〜
よく言われることですがレバレッジ ETF はボックス相場にとても弱いです。ボックス相場というのは、株価に方向性がなく一定の範囲内で上下を繰り返すような相場のことです。
毎日の値動きを参照指数の3倍にするという性質上、TECLは毎日、内部で資産のリバランスを行っています。
要は株価が下がれば内部で株のポジションを減らし、株価が上がればポジションを増やしているということです。
このため、一旦株価が上昇した後に下落が始まると、株のポジションが大きくなっているために大きく下げます。
逆に、いったん下落した後に上昇した場合は、株のポジションが少なくなっているために少ししか上がりません。
この性質によって、右肩下がりの相場の場合、損失は参照指数の3倍以下に抑えられます。
逆に右肩上がりの相場なら、上がるたびにポジションをどんどん増やしていくので、そのリターンは爆発的なものになります。
長期的に右肩上がりの相場なら、TECLを100万円分買って10年間持ち続けていれば、一緒遊べる程度のお金が手に入るかもしれません。
しかしグダグダと上下を繰り返す時間が長く続けば、仮にアップルやマイクロソフトが最終的に株価上昇していても、肝心の TECL は元本割れしている可能性すらある ということを肝に銘じておく必要があります。
2020年4月現在は、まだまだボラティリティが高い相場なので要注意(VIX指数は35程度)。
短期的な取引でカタをつけるか、長期的な右肩上がり相場を予想したときのみ購入を検討すると良いでしょう。
上場廃止やレバ比率変更に注意
最後に、注意事項をひとつ。最近のレバレッジETFに対する風当たりは厳しいです。
市場を混乱させているとの批判を受けて、このETFも廃止またはレバ比率がダウンする懸念が囁かれていました。
実際2020年3月の改定では、Direxion社のレバETFのいくつかのレバ比率が3→2に変更されました。
なんとかTECLは生き残ったわけですが、今後の動向には要注意です。
(追記)
TECLのと同じく米国株投資家に人気のETF、SPXLとSPXSについてはこちらの記事をどうぞ。
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