米国株投資をやってる人でも、この企業の名はあまり聞いたことがないのではないでしょうか。
ベリサインは、日本の投資家の間ではあまり有名ではありません。
しかし、この記事で説明するように60%台の高利益率かつ競合が参入しにくい非常に強いビジネスモデルを持った企業です。
実際これを書いている僕自身もベリサイン株を保有しています。
目次
ベリサインの株価
まずはベリサインの長期株価チャートから見ていきましょう。多少の波はあれど、長期的には右肩上がりの株価チャートを描いていますね。
コロナショックでの暴落の影響も相対的に小さく、現在(2020年7月11日)では他の銘柄よりもかなり速い株価の戻りを見せています。
(ただ、直近で少し足踏みしています)
株価は史上最高値奪還も見えてきた、209ドルです。
ちなみに現状無配なので配当利回りは0%です。
ベリサインのビジネス~ドメインネームレジストリサービス~
ベリサインはドメインネームレジストリサービスとインターネットのインフラの世界的なプロバイダーです。簡単にベリサインのドメインネームレジストリサービスについて説明します。
できるだけわかりやすく書いたつもりですが、 この辺ITの知識がある人以外はかなり分かりにくいかもしれません。
あまり興味のない方は飛ばしていただいても結構です。
実際僕も一応プロのエンジニアの端くれのはずなのですが、ベリサインの中心業務であるネットワーク関係は専門外です。
この記事を書くにあたり色々と検索する必要がありました(そしてもし間違いがあれば訂正いただけるとありがたいです)。。
.comと.netの名前解決を行うサーバーを管理しているということです。
はい、意味不明ですね。
さらに分かりやすく説明します。
例えばあなたは今このブログを見ていますね。
あなたのパソコンもしくはスマホにこのページが表示されているということは、
あなたのパソコンから僕が借りているレンタルサーバー(世界のどこかに存在するコンピューター)に、
しかし本来あなたのパソコンから僕が借りているレンタルサーバーにお願いを送るためには、あなたのパソコンはそのサーバーのIPアドレスを知っていなければなりません。
なんとなく聞いたこともあるかもしれませんが IP アドレスというのは個々のコンピューターの住所のようなものです。
196.123.9.7 とかそんな感じの数字が並んだものですね。
しかし見てわかる通りこの IP アドレスは人間にとってはとても覚えにくいです。
そこで普通は IP アドレスの代わりにドメインというものを使用します。
例えばこのサイトのドメインはin-base.comです。
こっちだとまだ覚えやすいですね。
しかし、人間には覚えやすいドメインですが、コンピューターはあくまでもIPアドレスを把握していないと通信ができません。
そこで、in-base.com というドメインを指定されたら、
でこれを教えてくれるのがDNSサーバーというものです。
そして、このようにドメイン名から IPアドレスを割りだす作業を名前解決と言います。
そして、実際の仕組みはもう少しややこしいのですが、.comと.netで終わるドメインの
名前解決をするサーバーを管理しているのが今回注目しているベリサインという企業だということです。
要するに、.comと.netが URL に入っているサイトはベリサインが管理業務を行ってくれないとアクセスが不可能になるということです。
今まで知りませんでしたが、僕自身もベリサインの顧客だったということです。
in-base.comというドメインを使ってますからね。
投資家として重要なのは、ベリサインが強力な経済の堀を持っているということです。
現状、商業用ドメインとして最も有力な.comを管理しているという強みはとてつもなく大きいです。
競合の参入のしにくさでは最高クラスの業務内容ではないでしょうか。 (詳しい説明は省きましたが、.comと.netのトップレベルドメインの管理を他の団体が行うことは仕組み上できません。)
ベリサインはただコンピューターの管理をしていればドメインを使っているユーザーから一定期間ごとに固定収入が入ってきます。
しかも、世の中はますますIT化しています。 ドメインを取得しなければネット上に本格的なサービスを公開することはできません。
今後もドメイン需要は高まっていく可能性は高いとみます。
ちなみに2018年までにベリサインに登録されたドットコムと.netのドメインは1億5000万件程度あるとのことです。
通常ドメイン料金は年1000円から3000円くらいかかります。
もちろんユーザーが支払う料金の内、どのくらいがベリサインの懐に入っていくかはケースバイケースでしょうが、 ベリサインがどれくらいの固定収入を得ているか想像しただけで恐ろしくなりますね。
セキュリティサービス
こちらはdos攻撃(大量アクセスでサーバーに負荷をかけるクラッキング手法)からの防衛などのサービスを提供していました。が2018年12月にニュースターという会社に売却されました。
これは既存の顧客に対する契約もひっくるめてニュースターに移譲されたというものです。
ベリサインによれば、このセキュリティサービスの売却による収益力の変動はさほどないということです。
ベリサインのファンダメンタルズ
ベリサインは長期的に増収増益傾向が続いており、積極的な自社株買いも相まってEPSも増加を続けています。これは非常に良い傾向と言えるでしょう。
(以下、グラフはmacrotrendsをもとに作成しました)
ベリサインの売り上げ高と営業利益
下グラフがベリサインの売り上げ高と営業利益の推移です。 近年売上・利益共に安定上昇しているのがわかります。それにしても驚異的な営業利益率ですね。
60%を超えています。
これはベリサインのビジネスが人件費や設備投資があまりかからないものであることを反映しています。
やはり、ドメイン管理という業務を行っているからこそ達成できる数字です。
一度サーバーシステムを確立してしまえば、ほとんど金の成る木を獲得したようなものですからね。
一度構築したITシステムが黙々とお金を吸い上げ、かつ競合が参入し辛い……。
まるでクレジットカードのVISAやマスターカードを見ているようですね。
ベリサインのEPS推移
次はVRSNのEPS(一株あたり利益)とBPS(一株あたり株主資産)推移を見てみましょう。 近年のEPS成長の美しさは目を見張るものがあります。一方のBPSの方は近年マイナスとなっています。
これは勿論、経営悪化して債務超過になったのではありません。
後述するようにベリサインは非常に自社株買いに積極的です。
自社株買いを続けた結果、会計上の株主資産が減少し、ついにはマイナスになったというわけです。
あまり心配する必要はありません。
ベリサインの自社株買い〜発行済株式数推移〜
ベリサインは自社株買いにとても積極的です。自社株買いの勢いはすさまじくここ15年ほどで発行済株式総数がほとんど半減するほどです。
2018年も6億ドル程度の自社株買いを行っています。
さすがバフェット銘柄だけあって投資家還元意識が高いですね。
投資家にとってはとてもありがたいことです。
【懸念点】PERはそれなりに高い
ここまでベリサインが優良ビジネスを保有していることを見てきました。注意点を挙げるとすればその株価の高さです。
現在(2020年4月22日時点)でベリサインの株価は206.75ドルで、PERは40.2倍となっています。
コロナショックでは一時140ドル台まで落ち込みましたが、その後急激に回復しました。
やはりそれだけマーケットはこの企業を評価しているということですね。
個人的にはもう少し下がってきたら追加購入したいところです。