ボーイングの経営破綻危機問題を分かりやすく解説する

今回の記事ではアメリカを代表する航空機メーカー、ボーイングの経営破綻危機問題を解説します。

今、ボーイングは同社市場最大級の危機に陥っています。
倒産するのではないかという懸念も一部で囁かれ出したほどです。

一体何が原因で、どういう状況になっているのでしょうか。

ボーイングが置かれている状況

株式市場ではボーイングの株が大暴落しています。
半年前までは400ドルにタッチしていたボーイング株はこの記事執筆時点(2020年3月20日)では95ドルまで暴落しています。

ボーイング株価推移

現在、コロナショックによって世界中の株が暴落しています。
しかしボーイングの下げ幅はその中でもとりわけ凄まじいものです。

ボーイング株暴落の主な原因は、
  • 主製品であった737 MAX の運行停止によるのニュース低迷と在庫の増加
  • 無理な自社株買いによる財務の急速な悪化によるデフォルト懸念
です。 加えて株主配当が停止されたことも、株価下落に拍車をかけています。

相次ぐ墜落事故による737 MAX 運航停止

コロナショックが発生する前からボーイング社は厳しい状況に置かれていました。

同社の主力製品である737 MAX が2018年から2019年にかけて相次いで墜落事故を起こしてしまったのです。

2018年10月にはインドネシアで、2019年3月にはエチオピアで墜落事故が起こり 合計346名の死者が出る大惨事となりました。
しかも2度の事故は、離陸してすぐにシステム不具合が発生した懸念が強いという点で酷似していました。

当然737 MAX は世界中で運行停止となりました。
737 MAX の減産や航空会社からの補償請求で、ボーイングの損失は2019年10月末時点で1兆円を超えていたと言われます。

窮地に陥っていたボーイング社に追い打ちをかけたのがコロナショックです。
コロナウイルスの流行により世界中の人々の動きが寸断されました。

航空業界も大打撃を受け、飛行機の需要が大幅に低減しました。
危機を乗り切るべく、融資による資金調達に動いたボーイングですが、急遽用意した138億ドルの融資枠もさっそく3月13日に枯渇、との情報も出てきています(ブルームバーグ)。

そんな中でボーイングは経営破綻するのではないかという懸念が色濃く渦巻いてきたのです。

ボーイング救済否定論

もちろんアメリカの製造業の象徴であるボーイングをそうやすやすと倒産させていいわけがありません。

ボーイング社が雇用する10万人以上の従業員に直接影響が出るだけでなく、取引がある関連企業や、お金を貸してる金融機関にも甚大な悪影響が出ることは必至です。

世界中の景気を後退させるわけにはいきませんから、トランプ大統領も「ボーイングは救済する」という趣旨の声明を出しました。

しかし一方でボーイングの救済には否定的な見方があることも事実です。
というのもボーイングの財務がこれほど悪化したのには、他の理由があるからです。

それは過剰なまでの株主還元です。

ボーイングは今回の件で配当を停止するまでは30年間減配しませんでした。

これに加え、近年は借金を重ねながら自社株買いを盛んに行っていました。
要するにボーイングが債務超過に陥っているのは、株主のためにお金を使いすぎていたからという側面があるのです。

経営者や株主のために散々お金を使っていたボーイング社を税金で救済するのはいかがなものかという議論があるのはある意味自然だと言えます。

以上がボーイングが現在落ちている状態の概要です。
経営破綻の疑惑が囁かれているボーイングですが、現状では少なくとも倒産する可能性はそう高くないというのが一般的な評価のようです。
S & P の格付けも下げられたとはいえ、まだ「投資適格」を維持しています。

その他投資家が注意すべき点

その他投資家が注意すべき点としては、ボーイングと同様に過剰な株主還元が原因で債務超過になっている企業が他にもあるということです。

例えば日本人投資家にも人気なマクドナルドやスターバックスなどが該当します。

平常時、自社株買いは基本的に歓迎すべきものです。
しかしそれも度が過ぎると今回のコロナショックのような緊急事態に対する耐性を弱めてしまう可能性があります。
これは日頃から注意しておくべきだと言えます。

またこの事件を受けて、一部で自社株買いに対する規制論が出てきていることも注意すべきでしょう。

アメリカの株がここまで上がってきたのは、企業が積極的に自社株買いを行い株主価値を高めてきたという側面があります。
万が一、自社株買いに何らかの規制が入るようであれば今後の長期的な株価にも影響を与えかねません。

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