高配当株投資は暴落に弱い? 一概にそう言えない理由【米国ETF】

こんにちは。きむ公です。

コロナショックによる世界的な株価暴落は一旦底を打ったように見えます。
今後決算が悪化した企業が続出するのはほぼ間違いないですし、各国の金融政策が功を奏するかどうかもまだ分かりません。
今後二番底三番底が訪れる可能性は決して低くはありません。

が、株価チャートや恐怖指数から見ても、ひとまず急激な下落は止まったように思われます。
ここで、一旦冷静にこれまでの暴落過程を振り返ろうという趣旨でこの記事を書いています。

特に、今回とりわけ下落がひどかったha高配当 ETFについてフォーカスします。
暴落の途中では、「高配当銘柄は実はリスクには非常に弱いんだ」という意見が散々聞かれました。
実際僕も、 業績不安な銘柄を多数抱える高配当ETFは暴落耐性がかなり低い と言うふうに考えていました。

しかし、データをより細かく見ていくと「高配当銘柄だからリスクに弱い」という見方はあまりに現実を単純化しすぎているということが見えてきました。

高配当 ETF の下げ幅

まず日本の高配当投資家に人気の三つのETF(VYM,HDV,SPYD)の値動きを見てみましょう。
期間は3月2日からこの記事執筆時点の3月25日までです。

三本とも、2月も暴落したのに加えて、3月も2割程度下げていることがわかります。

特に SPYD に至っては30%程度の下落を見せています。
実際にこの下落幅はその他の ETF に比べても大きいものです。
他の ETF とも比較してみましょう。

その他の ETF と高配当 ETF の比較

新興国株式(VWO)、全米株式(VTI)、金(GLD)や債権(BND)などの ETF と高配当 ETFの株価変動の比較が次のグラフです。

合計10個の ETF 間の比較を行いましたが、ワースト3を見事に高配当 ETF が独占しています。

これだけを見ていると、「やっぱり高配当 ETF は暴落相場に弱いジャン」という結論になりそうです。
しかし、もっとデータを細かく見てみるとどうでしょうか。

マーケットは意外に冷静に判断している

ここまで、全ての銘柄が投げ売りのようになった局面もあったかに思えました。
暴落の中にいると、ファンダメンタルズなどの合理的な要素を全く無視して株価が変動してるように思えます。

しかしデータを見てみると、コロナの影響が少ない銘柄はやはり下げも少ないということがわかります。

ゴールドや債権が暴落していないのは当然です。
しかし株式についても、最も暴落に耐えているのは米国のハイテク企業に投資するQQQです。
コロナによる外出自粛で、ネット通販の需要が増えて Amazon が急遽人員を増員しようとしたというニュースも入ってきています。
また Microsoft はビデオチャットや遠隔会議が可能となるサービス、teamsの利用者が急増したと報告しています。
こういったコロナでポジティブな影響も生じている企業を含むETFは、割と下落を抑えられているのです。

また地域で見ても、同じことが言えます。
新興国株式に投資するVWOは、アメリカ株式に投資するVTIよりも良いパフォーマンスです。
これは新興国はアメリカほどコロナの影響を受けているわけではないことを反映していると捉えるのが自然でしょう。

まとめ高配当 ETF はリスクに弱いのではなくコロナに弱かった

ここまでの条件を考慮すると、こういう考察ができます。
一言で言えば、 高配当 ETF はリスクに弱いのではなくコロナに弱かっただけ ということです。

まず、高配当 ETF は配当利回りが高い株式を組み入れなければいけない都合上、必然的に米国ハイテク企業を取りこぼしがちです。
せっかく Amazon などがコロナショックに耐えていても高配当 ETF はそういう銘柄とは無縁です。

また日本の投資家は、米国企業に投資するETFを好みます。
が、これも裏目に出てしまいました。
VYM,HDV,SPYDなどのETF はいつでもアメリカの企業に投資するものですが、肝心のアメリカがコロナの影響をモロに受けてしまったので当然暴落します。
要するに今回のコロナショックは日本の投資家の高配当投資と相性が悪すぎたということです。

ついでに言うと原油が急落した影響もかなり大きいです。 高配当 ETF はエネルギーセクターを組みれているものが多いですからね。

いずれにせよ、「高配当だからリスクに強い」とか逆に「高配当だからリスクに弱い」ということはありません。

その都度、
生じているリスクがどういうリスクなのか
ということを考えないと暴落では生き残ることができないようです。
(まあ、生き残るとか意識せずに思考停止で積立投資していくのも強力な方法だと思います)

また、分散投資の重要性も再認識されました。
今までアメリカの株が強力だったからといって、アメリカの株のみに集中投資するのもそれなりにリスクがあります。
資産クラスや地域は適度に分散させるべきですね。

今我々は非常に稀な相場環境にいます。
この貴重な機会を活かして、投資のことを学べるだけ学んでいきたいですね。

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